「人口戦略会議」2100年日本人口8000万人維持提言の中身 移民が総人口の10%の低い想定値では実現は困難。

世界の人口予測

世界の人口は、2086年の104憶3093万人をピークに減少と減少幅はし始め2100年には88億と予想されている。日本の人口は2020年には世界11番目、2050年17番目、2100年には36番目で予測総人口は7.400万人となっている。2100年の人口予想でも世界の1位と2位はインドと中国に変化はないが両国とも人口は減少しているがとくに中国は2020年人口より4億弱減少となり減少幅はとてつもない数字でありその数字がインドとの人口差となっている。

他の先進国で2100年まで人口を継続的に増加させると予想されているのはアメリカ合衆国だけで、イギリス・ドイツ・フランス・カナダは6.000万人から7.500万人で日本の7.4000万人と大差がない人口予想となっている。アジアではインドネシア・フィリピン・ベトナムが人口増加することで東・東南・南アジアの人口が世界総人口の55%を占め、サハラ以南のアフリカの国々の人口(11億5.000万人)が北米と欧州の総人口(11億2.000万人)と同等になると予想されている。

人口が増加している国はなぜ増加するのか

イギリス・フランス・ドイツ・カナダは世界の人口統計では順位を下げているとは言え、2020年のそれぞれの総人口と2100年の予想総人口は同等か増加の数字が出ている。

  • イギリス 2020年   67.509万人  2050年 71.685万人  2100年 70.485万人
  • フランス 2020年   64.627万人  2050年 65.827万人  2100年 60.852万人
  • ドイツ  2020年   83.370万人  2050年 78.932万人  2100年 68.936万人
  • カナダ  2020年   38.454万人  2050年 45.891万人  2100年 53.904万人
  • 日本   2020年   123.952万人  2050年  103.784万人  2100年  73.644万人

日本はそれぞれの国に対し2020年には4.000万人から9.000万人弱の人口差が有りながら、2100年の人口予測では同等かイギリスには追い抜かれるという数字がでている。全世界的に人口減少の潮流にあるとは言えなぜ日本が先進国の中で極端な人口減少に歯止めがかからないのか。(以上数値はUN WORLD POPULATION  PROSPECTS:The 2022Revisionから)ドイツから例をあげると移民対策の内容の充実さがある。移民制度については社会に与えるマイナスの面が強調されるが、制度を自国にとって有利に改変していくしかない。なぜなら自国の人口を維持あるいは増加させるには外部から人を迎い入れるしか今のところ方策がない。それも1年や2年単位で人口が増加する訳でなく数十年の時間が必要で、今方向性を決めないと2100年どころか2050年の段階で世界から日本は見捨てられることになる可能性は十分にある。

なぜ8.000万人なのか

2024年12月末の日本に在住する外国人は約340万人で、総人口の2.5%でしかないが、この比率で推移すると2100年の日本の総人口は6.300万人と予測する国立社会保障・人口問題研究所と、「日本戦略会議」の提言する2100年の日本の総人口8.000万人を維持するには1.700万人不足することになる。総人口の21%の外国人が必要になる。そもそも2100年時点で8.000万人の人口が日本国を維持するのに必要最低限なのか、最低このくらいは居てほしいという願望なのか明確でない。上記に記したように外国人を積極的に受け入れている諸外国も自国民に対し外国人の比率が上限20%強で推移していることを参考にすると、2100年に8.000万人が必要最低限の人口だとすると、自国民が6.400万人対外国人が1.600万人と想定することが妥当かと思われる。日本の特殊合計出生率は1.20(2023年9月)ですが、外国人の出生率を独自に集計することによって今後の人口の推移がより流動的になる。新たな「育成就労制度」(2023年特定技能実習制度を改変、2027年に施行の予定ですが概ね2030年まで技能実習制度と育成就労制度が併存する)が在留外国人の人口が増加させることが予想される(育成就労制度で日本に送りだす国の出生率はいずれも日本よりも高い)。単純に考えると家族帯同の外国人を迎え入れることが日本の人口を増加させる近道かもしれない。

在留外国人は自国民との比率が20%以下に抑える策が必要

いずれにせよ2100年に日本を世界の中で存続させることができる総人口と、それに占める自国民の%と外国からの移住者の%(移住者の出生率も重要)をいまから予測しておかないと、もし上記の移住者の総人口に占める%が30%や40%になるようだとまた別の問題が発生することになる。ドイツでの外国人の比率は17%、米国は17%でも移民問題が起きているが、自国民に対して在留外国人の比率が20%を超えると社会的な負の影響が大きく出かねないことは、外国人を受け入れてきた諸外国の現状をみると明らかです。日本が2100年の人口を8.000万人維持するするには、自国民と在留外国人との比率が重要な要素になってくる。いまだ少子化を食い止めた国は無い中で人口減少を補填する道は外国から人を入れる策しかない。米国やヨーロッパで起きている外国人(移民)追放のムーブメントの結果が今後の問題解決の方向をしめしてくれる。

2030年には「単一民族国家」から「多民族国家」へ

日本は2025年1月現在で単一民族国家であると世界に認められている。単一民族国家とは、特定の民族のみで人口の95%以上を占める国の事を言う。日本は大和民族(アイヌ民族・琉球民族もあるとの意見もある)が特定民族で、2025年1月現在で大和民族は95%の人口を保っているが、2023年1年間に約34万人の在留外国人の増加がしている現状から大和民族が人口の95%を下回ると予想される5年~6年後には日本は「単一民族国家」から「多民族国家」に姿が変わることを数字が表している。2022年カナダ統計局は、2041年にはカナダへの移民またカナダで生まれた移民の子供の推計総数がカナダの総人口の52.4%を占めるだろうと発表した。カナダは国土が日本の27倍、総人口が日本の3分の1(2023年現在)であり特異な国家と捉えるべきだが、日本が早晩「多民族国家」になることを想定して「多文化交流」を真摯に捉えていくべき時が来ている。

                                                                                     BUGPRESS編集部